Using a victim accompaniment process to provide emotional support for testimony -「被害者付添制度」を使って証言者を感情面から支援する

Link to English version
-----
 
【概要】
 
目的: 修復
 
アクション: キャパシティビルディング1、協力、差別からの回復、協力者の育成、被害者を記憶する、個人及びコミュニティの力を強化する、地域
 
人権問題の関連分野: 精神上の健康、拷問
 
国または地域: 南アフリカ
 
組織名: 南アフリカ真実和解委員会2
 
ウェブサイト: www.justice.gov.za/trc
 
「被害者付添制度」を使って証言者を感情面から支援する
 
公開和解プロセス3で話し合われる人権侵害に対処する際、証言提供する被害者を過度に緊張させないことが重要である。その対処法の一つとして、「付添制度」が挙げられる。「付添制度」とは、心理社会的治療法の訓練を受け公開和解プロセスに詳しいボランティアが被害者に付き添う取り組みである。この制度は治療に役立ちトラウマをぶり返させない、被害者のためになる経験を与えることを目標としている。
 
アパルトヘイト時代に行われた深刻な人権侵害に対処するため、1995年に南アフリカ真実和解委員会( 以下、TRCという )が法律に基づいて設立された。彼らの任務は国家機関や反対派武装集団が犯した違反を文書化すること、国家団結と和解を促すこと、将来的な人権侵害を阻止するための政策改革を提言することである。公聴会では、恩赦と人権聴聞会に加え、特別人権聴聞会が開かれ女性や子供への虐待に焦点が当てられた。これらの公聴会は全国各地で開催されあらゆるメディアによって報道された。
 
20,000人を越える被害者が証言を提供し、心理社会面及び感情面からTRCのReparation and Rehabilitation委員会は被害者を支援した。彼らの負担が軽くなるよう、公聴会の前、公聴会の間、公聴会の後まで、社会福祉家(牧師、看護師、ソーシャルワーカー、カウンセラーなど)が被害者を支える「付添制度」が使われた。「付添制度」は証言を支援し強化させ、地域の治療プロセスを応援し、国家規模の治療に最大限の影響を及ぼす、という3つの目標に重点を置いている。
 
「付添制度」のボランティアは被害者がトラウマ経験について話している間、彼らを支援し被害者自身が経験を再確認するのを助けている。自然災害のように滅多に起こらないトラウマ経験に対処する際使われるCritical Incident Debriefing (CID)からこの方法は派生した。人は考え、感じ、行動を起こす。そのような認知面、感情面、及び実用面にCIDは対処している。被害者が通常ではあり得ない経験をしても、CIDは彼らの反応を正常化するのに役立っている。
 
「付添制度」では、2種類のボランティアが訓練されている。公開和解プロセスの全過程に関与する「主要付添ボランティア」と証言者が在住する地域で募集され訓練された「地域型付添ボランティア」である。「主要付添ボランティア」は広範囲に渡る訓練を受け、被害者が公聴会に備え予行練習するのを助ける。また、彼らは「地域型付添ボランティア」の訓練も手伝っている。「地域型付添ボランティア」は短期間に集中して仕事を行い、被害者及び被害者が在住する地域を支援するという特定の目的を持つ「付添制度」は1)地域との事前交流 2)被害者との事前交流3)説明会の実施4)公聴会の手伝い 5)討論終結過程の手伝い6)後日訪問 の6段階に分かれている。
  • 地域との事前交流は公開会議を通して行われるため、地域リーダー(教師、法律専門家など)は委員会の任務について理解することができる。 TRCは地域リーダー(信仰と伝統的リーダー)と協力することによって、既存の人材を活用している。招集機関(政府)が地域にTRCを紹介するため、彼らの参加も重要である。現地協力者を見つけることは将来的な「地域型付添ボランティア」を見つけるためにも重要である。
  • 人権違反委員会は招待状を送って被害者を公聴会に招く。招待状にはTRCの前に集まるようという指示、「付添制度」と公聴会の過程、説明会と公聴会の日時が書かれている。
  • 公聴会の2日前、説明会が行われ、予定されていた被害者全員が集められた。これは公聴会の間も役立つ被害者同士の支援体制を形成した。ストレスを軽減するため、被害者は「付添ボランティア」の役割を学び議題を与えられた。ボランティア達は公聴会のプロセスについて詳しく説明し公聴会室を案内した。公聴会室見学後、彼らの助けを借り、多くの被害者にとって始めてとなるトラウマ経験の共有を6-8人の小人数グループに別れて行った。
  • 公聴会1時間前、被害者と「付添ボランティア」は集りお互いの気持ちを話し合い、ボランティアは当日の計画やスケジュールを繰り返した。公聴会の間、ボランティアは担当の被害者が証人台に立っている時のみならず、公聴会全日被害者に付き添った。証言提供後、ボランティアと被害者は個別で報告を行った。
  • トラウマ経験をTRCに任せ他の被害者や地域から支援を求めるよう、被害者は促されている。
  • 公聴会は地域の安定を脅かし複雑な人間関係の原因となった。後日訪問はTRCの任務に含まれないが、地域への後日訪問はそのような問題に対応しTRCは後日報告会の場所を提供している。
  • 「付添制度」は良い影響を持たらした。個人レベルでは、被害者が証言を提供したり身体的及び精神的痛みが経過するのを待つ際、トラウマがぶり返すのを防止した。地域レベルでは、地域一丸となって被害者の治療を助け彼らの経験を癒す訓練の機会となった。国レベルでは、トラウマを持つ人が多い国の治療を促すためにTRCが被害者に優しいプロセスを作ることができた。将来的な人権侵害を食い止める忠告やアパルトヘイトの際に行われた人権侵害の文書化がTRC即時達成成果に含まれる。 一方で、証言を拒否した加害者が誰も起訴されず、国家が賠償にあえぎ続けているなど、TRCは全てのことを期待通りできたわけではなかった。
 
被害者が希望を持って前に進むためには、彼らのニーズに司法制度が応える必要がある。どのような真実和解プロセスでも、真実の一部分にしか注目することができない。けれども、その過程が重要なのであり、見守る人はそれが正当であると信じなければならない。もしも真実和解のプロセスが勇気ある証言者にトラウマを与え、加害者のみを取り立てていることを隠れた犠牲者が目にしたなら、より良い未来を 創る大切な機会をその国は逃すことになるだろう。証言者のために沢山の努力と資源を心理社会的支援に投入することは必須である。紛争後の和解プロセスは、被害者の目に正当であると映ってこそ、成功と言うことができる。
 
「付添システム」は被害者の感情を傷つけないように彼らの体験を正確に伝えるのを助けている。人種差別のような繊細な話題を扱う際、第三者(ボランティア)の目線から被害者が体験した経験を客観視し証言をより正確に伝えることが大切である。感情面のサポートがあってこそ、被害者自身も周囲を恐れずに彼らの体験をありのままに話すことができる。証言提供の前に、心の傷をさらけ出し正直に話すことができる心地よい空間を「付添システム」は作り出している。
 
  1. 途上国の能力構築。 現在、途上国はWTOのルールや規律を遵守する上で、さまざまな困難に直面しており、このことが新ラウンド交渉への参加を躊躇する原因になっている。しかし、新ラウンドの成功には途上国の積極的参加が不可欠であるため、途上国に対し、協定についてのセミナーの開催、産業育成・中小企業人材育成としての研修員の受け入れや専門家の派遣等の技術支援を行うことによって、途上国が交渉に参加できる能力をつけていくことが必要となっている。
    外務省 経済用語解説5
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/wto/yogo.html
  2. マンデラ政権誕生後、1995年に設立され、2000年まで活動し、1998年と2003年に報告書を公刊した真実和解委員会(Truth and Reconciliation Commission: TRC)は、マンデラの政治的理念を具体化したものであり、その不屈と寛容の精神のシンボルとして報じるメディアも多かった。 阿部利洋 『アフリカレポート』2014年 No.52、pp.5-9 時事解説:弁護士マンデラのプラグマティズムと真実和解委員会http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Africa/2014_02.html
  3. Public reconciliation processについてより詳しく知りたい方はこちらへ。 “I’ll Walk Beside You; Providing emotional support for testifiers at the South African Truth & Reconciliation Commission”, Wildschut Glenda, Haupt Paul, New Tactics in Human Rights https://www.newtactics.org/sites/default/files/resources/Walk-Beside-You...
Resource type: 
Languages: